
アニメや漫画をよく見ている人なら一度は「Rh-」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
「輸血が必要だ!血液型を調べろ」
「先生、Rh-のAB型です、、」
「なに、Rh-だと、、」
「誰か、誰かRh-のAB型の人はいませんか!」
みたいな場面です、輸血が必要なのに血液型が合わずに輸血ができずに救うことができないという深刻な状況です。
こうした場面でよく登場するのが「Rhマイナス」です。
なんとなく珍しい血液という認識はあるとは思いますが、今日はそんな「Rhマイナス」のAB型がなぜ珍しのかをご紹介したいと思います。
血液型について
一般的によく知られている血液型というのは、A型・B型・O型・AB型がありますよね。
これは”ABO式”という血液型を決定する方式です。
それに対して「Rhマイナス」が含まれるのは、Rh因子によって血液型を決定する”Rh式”という血液型を決定する方式です。
ABO血液型
ABO血液型は赤血球上などの糖の違いにより、A・B・O・ABの4つの型に分類します。
この4つの血液型の出現率は均等ではなく、型により出現率は異なります。
日本人の場合その出現率は、
- A型は約10人に4人
- B型は約10人に2人
- O型は約10人に3人
- AB型は約10人に1人
となっています。この割合は人種によって違いがあります。
輸血の際は原則として、同じABO血液型間でした輸血することはできません。
A型の人に輸血するにはA型の血液のみ、B型にはB型、O型にはO型、AB型にはAB型です。
Rh式の血液型について
Rh血液型にはD,C,c,E,eの代表的な抗原と呼ばれるものがあります。
一般的にRh血液型というのはD抗原の有無によって判断されます。
- D抗原を持つ人をRh陽性
- D抗原を持たない人をRh陰性
と区別されます。日本人はこのRh陰性の人の割合が少なくおよそ200人に1人程度しかいません。
輸血の際にはこのRh陽性とRh陰性の違いは重要です。
Rh陽性の血液型の人にはRh陽性の血液でもRh陰性の血液でも輸血することは問題はありません。
しかし、Rh陰性の血液型の人にはRh陰性の血液しか輸血することはできません。
もしRh陰性の人にRh陽性の血液を輸血すると、輸血副作用などが発生する可能性が非常に高くなります。
RhマイナスのAB型が珍しい訳
ではRhマイナスのAB型が珍しい訳ですが、AB型は10人に一人しかいません。
さらにRhマイナスの出現率は200人に一人です。
この二つの条件を加味した場合、RhマイナスAB型の出現頻度はおよそ2000人に一人ということになり、珍しい血液型となるのです。
以下は血液型別の出現割合

日本の人口はおよそ1.268億人(2017年)です。これを単純計算すると、日本全体でのRhマイナスAB型の人の数は、約63,400人です。
全国でこの人数しかいないんです。少ないですよね。
このようにRhマイナスAB型は数が少ない為、アニメや漫画の輸血のシーンで珍しい血液型という表現がされるのです。
他の珍しい血液
Rhマイナスは有名な血液型ですが、他にも珍しい血液型は存在します。
Oh ボンベイ型
Oh型は遺伝により産まれてきます。
赤血球の先のH抗原にA抗原が付けばA型、B抗原が付けばB型、AB両方つくとAB型、何も付かないとO型となるのですが、ボンベイ型の場合はH抗原自体がないのです。
ボンベイ型の日本人はやく100名程度と言われ、非常に珍しい血液型の一つなのです。
-D-バーディーバー
この血液型はRh血液型のCE抗原というものを全く持っていない人の血液の事をさし、その数は日本人では20万人に1人と言われています。
バーディーバーは通常の検査ではあまり発見されません。
なぜかというと、バーディーバーはD抗原しか持っておらず、通常の検査ではD抗原の有無を調べます。
なので通常の検査ではバーディーバーは単なるRh陽性として判断されてしまうのです。
Fy(a-)ダッフィエーマイナス
この血液型はDuffy血液型(FYシステム)という識別方式で区別されるものの一つです。
Duffy血液型は、型により出現頻度に差があり、以下のようになっています。

調査する場所により出現率に差があり、詳細なデータはありませんでした。
日本人のFr(a-)は約1%とされ血液センターでは「稀な血液型」として登録されています。
Di(B-)ディエゴビーマイナス
この血液型はディエゴ式血液型により分類されるうちの一つです。
ディエゴ式では、”Di(a+b-)””Di(a+b+)””Di(a-b+)”の3つの型が存在し、日本人の場合その出現頻度は以下のようになっています。
- ”Di(a+b-)”では約0.1%
- ”Di(a+b+)”では約5.4%
- ”Di(a-b+)”では約94.5%
Rh null アールエイチ・ヌル
この血液は黄金の血と呼ばれています。
通常どの血液もRh抗原を持っており、この型によって輸血できるかが判断されます。
しかし、この血液型はRh抗原を持っていません。
なのでRh nullの血液はどの血液型の人に輸血しても拒否反応が起きないのです、どんな人にも輸血できる、故に黄金の血液と呼ばれているのです。
この血液型をもつ人世界人口の0.01%未満しか居らず、世界で数えるくらいしかいません。
国際赤十字の2010年の調査では43人しか確認できず、このうち輸血に応じる反応を示したのは僅かに6人だけです。
輸血について
血液型によっては同じ型でないと輸血できないなどの条件があるものもあります。
アニメや漫画などで「Rh-AB型の血液がない!」「ボンベイ型の血液がない!」などのシーンがありますが、あれは紛れもない事実です。
輸血する事ができない血液を輸血すると副作用や拒絶反応が起こるので、条件を満たす血液しか輸血する事はできないのです。
最後に
今まで何となく「Rhマイナス」という言葉を聞いていましたが、これで結構納得できたのではないですか?
現在では赤十字血液センターなどで輸血用の血液が保管されており、珍しい血液型の血液もある程度は保管されています。
数が極端に少ない血液に関しては、世界の血液センターでやり取りが行われています。
この機会に献血に行って自身の血液について知ってみてはいかかでしょうか。